付随費用の処理について

今回は、原価計算に関連する論点の一つ、付随費用の処理について解説します。付随費用は見落とされがちですが、税務調査でよく指摘されるポイントです。

付随費用とは

法人税法上の定義
  • (購入の代価を除く)資産の購入のために要した費用
  • 資産を消費し、または販売の用に供するために直接要した費用

つまり、商品の仕入代金そのものではなく、仕入・製造・販売の各段階に付随して発生する費用が対象です。以下のようなものが典型例です。

🏭保管費用

商品仕入後の倉庫賃借料・保管委託費など

🤝仲介手数料

土地買入れ時の仲介手数料など

🚚引取り運賃等

遠方からの搬送費・特殊な梱包費用など

🔍検修費用

製品完成後の検査・修繕にかかる費用など

これらは原則として商品の仕入原価または製品の製造原価に加算して原価計算を行うことが、法人税法上求められています。

ただし、すべてを含める必要はない

現実には、付随費用をすべて漏れなく把握・原価算入することは求められていません。国税庁の通達によって、少額または重要性に乏しいものは原価計算に含めなくてよいと定められています。

購入した棚卸資産の場合

法基通 5-1-1 購入した棚卸資産に係る付随費用

以下の費用は、合計額が少額(購入代価のおおむね3%以内)であれば、取得価額に算入しなくてよい。

  • 買入事務、検収、整理、選別、手入れ等に要した費用
  • 販売所等から販売所等へ移管するための運賃・荷造費等
  • 特別の時期に販売するため長期にわたって保管するための費用
  • (注)通常の保管費用(保険料含む)も算入不要
法基通 5-1-1の2 取得価額に算入しなくてよい費用(購入資産)

棚卸資産の取得・保有に関連していても、以下は取得価額に算入不要。

  • 不動産取得税
  • 地価税
  • 固定資産税および都市計画税
  • 特別土地保有税
  • 登録免許税その他登記・登録のために要する費用
  • 借入金の利子

自社製造品(棚卸資産)の場合

法基通 5-1-3 製造した棚卸資産に係る付随費用

以下の費用は、合計額が少額(製造原価のおおむね3%以内)であれば、取得価額に算入しなくてよい。

  • 製造後の検査・検定・整理・選別・手入れ等の費用
  • 製造場等から販売所等へ移管するための運賃・荷造費等
  • 特別の時期に販売するため長期にわたって保管するための費用
  • (注)通常の保管費用(保険料含む)も算入不要
法基通 5-1-4 製造原価に算入しなくてよい費用

製造原価に算入しなくてよいと定められた主な費用は以下のとおり。

  • 記念賞与など特別に支給されることが明らかな賞与
  • 基礎研究・応用研究など工業化研究に該当しない試験研究費
  • 特別償却の適用を受ける資産の特別償却限度額相当部分
  • 工業所有権の使用料(売上高等基準・生産数量基準のもの)
  • 複写販売用ソフトウェアの原本にかかる償却費
  • 事業税および特別法人事業税
  • 事業縮小等に伴う大量整理時の退職給与
  • 相当期間にわたる生産休止期間の費用
  • 償却超過額その他税務計算上の否認金
  • 障害者雇用納付金
  • 工場等が支出した寄附金
  • 借入金の利子

税務調査での注意点

これらの通達に列挙された費用は、原価計算に含める必要はありません。しかし裏を返せば、列挙されていない費用で法人税法の定義(①②)に該当するものは、原価計算に含めるよう指摘される可能性があります。

📌 実務上のポイント——波及リスクに注意

付随費用は1件1件を見れば少額でも、誤りが1件見つかると原価計算全体に波及し、修正金額が大きくなることがあります。「どの費用が付随費用に当たるか」を日頃から整理しておくことが重要です。

状況税務上の扱い
通達に列挙された費用 原価計算に含めなくてよい(算入任意)
3%基準を超える付随費用(通達5-1-1、5-1-3) 原価に算入する必要あり
通達に列挙されていない付随費用 法人税法の定義①②に該当すれば原価算入を指摘される可能性あり
⚠️

判断に迷う費用については、税理士等の専門家に確認することをお勧めします。誤った処理が蓄積すると、税務調査時に過去にさかのぼって修正が求められる場合があります。

✅ まとめ

付随費用は原則として原価に算入する必要がありますが、国税庁の通達(法基通5-1-1〜5-1-4)によって、少額または特定の費用は算入不要とされています。通達に列挙されていない費用については原価算入を求められる可能性があるため、どの費用が付随費用に当たるかを日頃から把握しておくことが重要です。